・だいじなおはなしのはじめ
21世紀の幕が開きました。速いものでもう今年もその12分の1を過ぎてしまいました。正月休みにはゴルと毎日散歩ができたけれど、12月号にも書いたとおり、非常にゆっくりとした足どりで「お互いに歳をとったなァ~」と話しながら。寂しいような、しかしそのゆっくりとした時間の流れは非常に充実しているような、真っ白な雪の中の散歩でした。
そして再び仕事、新年にあたり藤田理事長と大月院長と3人で、今後のふたつの診療所のあり方について話し合い、この春からのまた新たな飛躍への方向が大体決まりました。
・これまでの医療法人社団こぶしの歴史
岩見沢に「こぶし神経クリニック」が出来て13年目、新札幌に「札幌こぶしクリニック」を同じ法人として開いて6年目、医者が歳をとっても医学は進歩しそれに対応できる診療所、2つに離れていても広い地域でサービスできるメリット、規模は小さくても3人の医者がいて安定したサービスを供給、医業経営が厳しいと言われる時代でも2つで共同するから維持発展もできる、医者がお互いに時間を保証しあって勉強し診療所医療の水準を維持できる、こうしてひとつの法人でふたつの診療所活動が出来たことは非常に良かったことでした。
もちろんみなさん方に支えられてのことでしたが。
・ふたつの診療所発展の新たな課題
一方で、こうしてそれぞれの診療所が地力をつけて地域でのサービスに深く進んでいくと、発展の中に新しい問題も出てきました。
人口20万に満たない地方の町と、人口200万に及ぼうとする道央都市との違い、それは患者さんの内容の違いでもあり、サービスの違いにもなり、地域諸機関との関係の違い、運営規模・運営スタイルの違いにもなります。
画一的なサービスや運営ではだんだんとその役割を充分に果たせなくなってきました。法人でまとめて診療活動をしようとすると、各院長の個性でサービスが充実している診療所でありながら、だんだんとその個性が出しにくくなってきました。
(特に岩見沢は時代とともに水準を大月院長のカラーに上げていきたいのですが、長年の三田村の影響も残り、運営も患者さんも時代の変化に乗りにくい印象もあります。)また道内にはたくさんの神経精神科診療所が作られていますが、そうした多くの診療所とのつながりよりも、法人内部だけのネットワークに眼が向いてしまう心配も出てきました。
・そこで今年の4月からはふたつの別な診療所
今までの法人による診療所運営の歴史的な意義は大きいものでしたが、このままではいけません。そこでこの4月からは札幌と岩見沢の診療所は独立して運営していくことにします。4月からはふたつの診療所は別々の経営体になり、それぞれの地域や患者さんたちの希望を聴きながら各々独自に運営されます。もちろん従来通りの診療所ネットワークは一層強化してふたつの診療所も密に協力しあっていきますが、札幌と岩見沢の診療所はそれぞれの地域に根ざして、地元の患者さんとともに、そのニーズに応えながら、そして各診療所と各院長の個性を大いに各診療所のカラーとして出しながら今後発展していこうと思います。
・札幌の診療所は・・・札幌こぶしクリニック
札幌こぶしクリニックは今後も、道央中心都市の診療所として、そして今後も各地に増えてほしい同じような診療所の応援拠点としても、今までの医療法人社団こぶしを引き継いでいきます。将来は都市型のメンタル・ヘルスのセンターとして藤田院長を中心に若々しく高水準の診療所を目指していくことでしょう。しかし既に毎月1000人を超える患者さんの診療に充分に応えるためには、医師一人体制ではとても無理があり、その点が解決するまでは三田村が従来通りしばらく応援します(老体に鞭打って!)。
・岩見沢の診療所は・・・何か新しい良い名前は?
岩見沢の診療所は、いよいよ100%大月院長のカラーで地方都市、地域の中の診療所として再出発します。そのためには診療所の名前も新しく考えなくてはなりません。どんな名前にしようかと大月院長が今悩んでいます。「かえで?」「メープル?」・・・いい名前があれば是非提案してあげてください。みんなで作る診療所ですから。ただし保健所への届出期限があるのでお早めに大月先生に。なおこの新体制の下で三田村の岩見沢診療はなくなります。長くお付き合いいただいた患者さんには感謝とともに、申し訳ないなとも思いながら、しかしこれを機会にみなさんが「患者」を「卒業」するか、あるいは治療者依存から医療機関の能動的な有効利用・活用者に前進していただけることを願っています。もちろん大月先生が診療所運営(得意な診療行為とは違う課題がたくさん)に馴れるまで、一年間は岩見沢児童相談所や月形友朋の丘の嘱託は三田村が岩見沢に居てお手伝いしますが。
・こぶし介護相談室はなくなりますが
こうしてふたつの診療所がお互いに協力しながら、独自の発展と地域サービスを目指して新たなスタートがこの4月から始まりますが、残念ながら「こぶし介護相談室」は3月いっぱいで閉鎖します。グループホームへの導入など他には無い介護プランを痴呆老人に提供して岩見沢を拠点に活動を始めたばかりの相談室ですが、この居宅介護支援事業所というのは法的には法人傘下でなくてはならないためにやむをえません。しかし当分、岩見沢には渡辺看護婦が、札幌には三田村がケアマネジャー(介護支援相談員)の資格を持って居りますので、それぞれ老人介護保険に関する相談には乗っていけます。遠慮せずにご相談ください。
・積極的に新しい診療所の利用を
人間の「慣れ」というものは恐ろしい。時に「慣れ」を「正しい」と間違えてしまう。心理学者ガスリー・ホートンの「問題箱の猫」という実験があります(内容省略)が、その猫は何か偶然に上手くいった行動があると、それが正しいと思いその「迷信行動」のみを繰り返し、他の方法を採らなくなります。人間の診療所活用も然り。ある診療所である先生に出会って上手くいくと、「私はその診療所でその先生の治療法でなくてはならない」と信じてしまう。しかし人間は「問題箱の猫」に留まってはなりません。時代とともに医学は発展し、医療システムも変わり、年齢とともに治療者も交代していく。みなさんにも4月からの新体制で、新たな診療所と医師の活用に積極的に自分自身の前進を見出してほしいと思います。
・患者さんのための「医者と診療所の活用術」=「診療所は地域でみんなで作るもの」「医者もおだてりゃ木を登る」
そうはいっても4月からどうなるのだろうか?まだ心配する人もいるでしょう。
今度の診療所は?今度の先生は?と。
とかく日本の患者さんや医療機関利用者は受身になります。
しかし考えてみましょう。
私たち一人一人も、結構周りからの要請や環境の結果で現在の自分があります。診療所もどのようになるかは利用するみなさんの考えや要請でそのスタイルが決まってきます。そこの医者も患者さんの要請で勉強もし、また医師としての姿勢も決まってきます。
これが私のこの道30年の結論であり、現在の私も結局みなさん方の要請でこんな風になり、「医者もおだてられりゃ木を登るさ」と冗談を言いながら、かつ歳をとるとそれに応えられないジレンマに悩んでいます。藤田院長と大月院長を中心とする、札幌と岩見沢のそれぞれの診療所、そして先生方、この4月からどのようになっていくかはひとつにはみなさん方の積極的活用にかかっています。ヨロシク!!
・おわりに再び個人的な話
かぞえ歳で「自称」66歳になりました。
「カゾエドシ」を言うあたりが非常に古い!しかし体力が続かず、身体の不調から思うように働けず悩んでいるのも事実。
そして喜ぶべきことですが、時代は若手の先生の時代に。
これからの藤田先生や大月先生の活躍は大いに期待してよいでしょう。さらに詳しくは「こぶしだより」3月号をよくご覧ください。
もちろん「老兵は死なず、・・・・・」
・~~~読者の広場~~~
食のシリーズ20
『甘い戦争』ネコ吉
今年も早、1ヶ月が過ぎてしまいました。雑誌を開けばなんだかチョコ・バレンタインの特集が大賑わいで、ながめていると「どれが美味しいかな~?」なんて、自分が食べることしか考えて無いことに気づかされます。(それは情けないかも・・・。)毎年、なんのかんの言ってもチョコ売場は女の人でごったがえして、凄い熱気ですよね。
チョコレートの原産地は中央アメリカ、カリブ諸国で、15世紀コロンブスがスペインに持ち帰ったのが始まりで、スペインが16世紀前半にアステカ王朝を制服した時に王のカール五世に送っていたのが、ヨーロッパに広まっていくきっかけだったようです。最初は薬剤として扱われていたのですが、疲労回復の栄養剤となり、砂糖が入り飲用のチョコレートとなって16世紀、17世紀に広く伝わっていきました。今のチョコレート菓子になったのはつい最近の話。それまではココアとして製造され、その副産物のカカオバターが19世紀にこのような形になったようです。
原料のカカオはガーナ、コートジボワール、ブラジル、ベネズエラが主要な産地になってます。
カカオの実を発酵させて、種子を取り出し乾燥。カカオ豆を焙煎し胚乳部分を磨砕したものが、チョコの原料の大本です。製造工程はけっこう難しく、機械化がされています。(ですから手作りチョコは難しいのです。作るならココアを使ったケーキやクッキーなどのお菓子の方が簡単でオススメ。)
栄養学的にはチョコレートはとにかく脂質の含有量が多いので、高エネルギーですから気を付けて食べて下さい。(脂質と砂糖の組み合わせは太りやすいです)他はテオブロミンという成分が含まれ、おだやかではありますが、刺激性、興奮作用があり、人によっては頭痛がする方もいるようです。
なんて、ちょっと味気のない話ですが、14日はみんなでチョコを食べる日・・・って事に私の中ではなっているので、幸せに食べましょうね・・・。
Sapporo Kobushi Clinic