2001年
1月号
発行こぶし編集部
第150号
『謹賀新年』
藤田 毅

・皆様、明けましておめでとうございます。
昨年は苦しかった心の病も、今年は忘れてしまえるくらい、健康を取り戻せるといいですね。
皆さんもお気付きかと思いますが、札幌では昨年末から若干予約方法を変更しています。
何とか待ち時間を減らせないものかと私たちも試行錯誤をしています。
ご迷惑をおかけすることも多いかと思いますが、ご協力下さい。

・ところで、心の病というものは、ちょっとしたボタンの掛け違いで大きな苦悩へと変化し、深い霧の中に迷い込んでしまうものです。
そうならないよう、繊細な心をいたわりながら、元々持っている健康な姿に戻っていくのをじっと待つのが、今できる最善の対策なのです。
実は、私たちの心や体には健康に戻ろうとする仕組みが備わっています。
無理をしたり、自棄になったりして、その仕組みの邪魔をすれば当然長引いてしまうわけです。
苦しいでしょうが、私たちも一緒にこの霧が晴れるのを待ちますので、あせらず毎日を送っていきましょう。

・こころの時代
皆さんのお宅で北海道新聞を読まれている方はいらっしゃるでしょうか。
1月1日から社会面で「こころの時代」と称したコラムが連載されていますね。
あの記事の担当記者さんが昨年末に「こころをテーマにして連載を書きたいが何か良いアイデアはないか」と私のところへ相談に来られました。
結局、愛を最初のテーマにしたようですが、その話をしているときに、つくづく再認識をしたことがあります。
それは人と人との関係性についてです。昔から、精神疾患は人間関係の病と言われていますが、この人と人とのつながり、つまり関係性が、実に多くの意味を有するのです。関係性が希薄な人、濃厚過ぎる人、空想でしか作れない人、そんな不安定な関係が心を揺り動かし、脆弱にしてしまうのです。
例えば関係性が薄いとどうなるでしょうか。
自分のことには真剣でも他人のことには無関心であったりするかもしれませんね。
自己主張はするけれども、思いやりがなくなってしまうわけです。
あるいは、
他人に必要とされている実感がないために、自分の事も大事にできなくなるかもしれません。
ここでは、単純に決め付けて論じることはしませんが、確かに21世紀は「こころの時代」となりそうです。

・2001年問題
一昨年の末にコンピュータの2000年問題というのが騒がれたのをご記憶でしょうか。
コンピュータのプログラムがメモリー節約を目的として年号管理を下2桁で行っていたために2000年を正確に認識できないという問題で、実に多くの尾ひれがついて大問題になりましたよね。
 私の家のコンピュータはお蔭様でこの2000年問題を何とかクリアーし、その後も特に大きな問題もなく、平穏無事に2000年末を迎えたのです。そして迎えた12月某日。私はボ~っとした頭で、コンピュータの基本ソフト(我が家ではWindowsを使っています)のバージョンアップに取りかかったのです。
しかし、普段の行いが悪いのか、ボ~っとした頭の出来が悪いのか、途端に動かなくなってしまったのです。
そう、機械も私も固まってしまってウンともスンともいわない。仕方なく、年末から年明けにかけてコンピュータの修復に明け暮れたのでした。私にとってはとんだ2001年問題だったというわけです。
医者の世界もこれからは電子カルテを導入したりとか、コンピュータとはかかわりが深くなっていくでしょう。
私もコンピュータ君の機嫌を損ねずに良い「関係性」を築いていけたらいいのですが・・・。
そういう訳で年末から年始にかけてメールをいただいた皆様、お返事が書けずに失礼いたしました。
(ちなみにアドレスはsapporo@kobushi・or・jpです)今は何とか私の隠れ家的お店で、外の雪を眺めながらこうしてこぶし便りを書けるようになりましたので、近々お返事をいたします。
では、診察室でまたお会いしましょう。

・~読者の広場~
食のシリーズ19
『糖尿病食』ネコ吉
21世紀になりましたね。お正月は皆様どう過ごされましたか?
年始年末、大体の方が「太った」と口にされます。(痩せる人はまずいないのかしら・・・?)どうしても暴飲暴食になりがちですよね。

さあ、もうそろそろ、健康な食生活に戻していきましょう。
どのくらいのカロリーを取ればいいのか、計算で出してみましょう。
まず、身長から標準体重を計算します。 身長(m)×身長(m)×22=標準体重(例・158センチの人の場合・1.58×1.58×22=54.9キログラム)
それで出た標準体重に活動量に見合ったカロリーをかけます。

・軽労作(デスクワーク、主婦など座っていることが多い人)
25~30キロカロリー

・普通の労作(営業職、販売職、子育ての主婦など立っている事が多い人)
30~35キロカロリー

・重い労作(力仕事が多い人)
35~40キロカロリー

※(例・軽労作 54・9キログラム×30キロカロリー=1647キロカロリー)

・この頃は軽労作の方が多くなってきています。ですからカロリーオーバーにもすぐなるようですね。
さて自分に見合ったカロリーが算出されたところで、前回紹介した「食品交換表」の本の登場です。
糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルを過不足無く取ることができるように食品を4群6表に分類して、カロリーを分配し、摂取できるように何をどれだけ食べればいいかガイドされています。
ここで出てくるのが「80キロカロリー=1単位」という単位ですが、これは私た ちのよく食べる食品の量が80キロカロリーに置き換わる物が多いからです。
(例えば卵1個約80キロカロリー、納豆一パック40グラム約80キロカロリー、ジャガイモ1個100グラム約80キロカロリー) 食品交換表の本の中に指示されている単位の分配例にしたがって、栄養バランスの取れた献立を作成します。

・難しいと感じるかもしれませんが、慣れるまでの辛抱です。
まず1ヶ月、交換表となかよくすると自然に献立が立てられるようになります。  さて、前回の問題、ジャガイモは穀類か野菜か、ですが、芋類は食品交換表の中では穀類(糖質)です。
お正月、煮物に里芋が入っていますが、食べ過ぎませんでしたか?煮物は無意識に箸が伸びて、食べ過ぎの元になっているみたいですよ。
さあ、運動も生活の中に取り入れて、健康な未来にしていきましょう。
(※食生活に気を付けなければならない病気を持っている方や妊婦の方は、自分で判断せず、栄養士に相談して下さいね。)

・『盲学校の場所』えむふく
ある日、私は札幌のある地方に行きました。新しい店がオープンしたというので、秋、自転車で行こうと思ったのです。
ところが、私は道に迷ってしまいました。
曲がり角を一つ間違えてしまったらしいのです。
急な坂を登るハメになってしまい、人里離れた所まで来てしまったのです。
「何だここ?店なんて無いぞ。つーか何も無いじゃん。」横を見たら、ちょっとしたガケで、ちょっとした街並を一望出来るではありませんか。
「どこだここ!?」と思って周りを見渡したその時、ある大きな建物が建っていました。
どうやら、それは盲学校らしい事が判りました。
しかし、何でこんな所に?。
誰もこないようなこんな所に何故?。
私にはその施設が街から隔離されているとしか思えませんでした。
家に帰って地図を見ると、やはり小中学校はもう少し街に近いのに盲学校だけ離れているのです。
同じ学校なら盲学校も、もっといい所に建てれば良いのに。
結局、これは障害者差別の一つに該当するのではないかという意見の結論に達しました。
障害者だからこそ、他の市民と交わって生きて生活していく必要があるのではないか。このままでは、この学校の生徒達は、ますます健常者に対するコンプレックスが増すのではないか、と私は思ってしまったのです。
これを見ていると「日本は障害者福祉のレベルが低い。」ということが妙にわかってしまったような気がしました。
もし、この盲学校の位置に意味は無かったにしても、それでもあの場所はひどい。事実上の隔離です。
そういう垣根を取り払わないことには、互いの相互理解なんて出来ないし、もっと身近にオリンピックとパラリンピックの地位の差は無くなんないよなぁって思ったりしました。

・~~~ 編集後記 ~~~
やって来ました。21世紀。
漫画「ドラえもん」では自動車が空を飛んだり、人間より優れたネコ型ロボットが活躍したり。
又、映画「2001年宇宙の旅」でも人間の脳より優れた人工知能を持つHAL2000というコンピューターが登場したり。
現実はそこまでの進歩の無い世界。 でも、 少しだけ変化を求めてこの「こぶし便り」を縦書きにしてみました。
いかがでしょうか?。
今年もよろしくお願い致します。(F・J)