2000年10月号
発行こぶし編集部
第147号
『認知のゆがみをチェックしましょう!!Part2』藤田 毅

●認知療法の続き
7月号に認知療法について書きましたが、皆さん覚えておられるでしょうか。
私の担当する時には、いずれまた・・と書いてそのままになっていることが多かったので(皆さんお気づきでした?)今回はちゃんと続きを書こうと思います。
7月号では代表的な認知のゆがみを4つご紹介しました。
おさらいしたいところですが、紙面の都合で無理なようですから、7月号をひっぱり出して見て下さい。
お持ちでない方は窓口でご相談ください。
では、続きです。

⑤ポジティブな側面の否認
他人から見ると全く問題なく、むしろ大成功を収めている状況なのに、わざわざ悪い、あるいは満足できない部分を抜き出してきて、否定的に悩んでいる状況をいいます。
例えば、仕事がうまくいっているのに、たまたま上司に気に入られて、こんな自分を気の毒に思ってくれたのでうまくいっているに過ぎないと考えてしまったりするのです。
女性では恋愛問題で多く見られますが、相手の方が誉めてくれる部分があっても、私はこういう問題があるからきっとふられるなどとマイナス方向に考える訳ですね。

⑥独断的推論
事実とは異なる根拠のない否定的な独断を引き出すことです。
これだけでは難しいですね。
例をあげましょう。
一つは読心術と呼ばれていますが、他人は私の心を読んで私の思いを知っているべきだとか、あるいは逆に他人の考えていることがわかるのだと考える傾向です。
成書に載っている実例をあげてみます。
ある夫婦の会話です。

夫:お前は怒っている。
顔を見たらわかるんだ。

妻:いいえ、怒ってなんかいません。

夫:そんなことはない。
お前のことは全てわかっているんだ。
お前は怒っている!
妻:怒ってなんかいないって言っているでしょう!しつこいわね!
夫:ほら、やっぱり怒っている・・・。

何だか、笑い話のようですね。
こういう独断的な思い込みで相手の心を決め付けてしまいます。
また、相手が自分の心をわからないのが、不思議だと悩んだりするわけです。
もう一つは、否定的な悲劇的なことが今後起こると強く信じる傾向です。
例えば、面接試験にきっと失敗すると強く考えてしまう。
その結果、本当に緊張して、実際にも失敗してしまうので、自分の予測は当たったと、さらに確信してしまうのが厄介なところです。
こういう思い込み(独断)は、否定的に向かうとうまくいくものも、うまくいかなくなるので、注意が必要ですね。

⑦誇大視と極微視
これは物事を極端に誇張したり、矮小化して捉えてしまう傾向です。
多くの場合、自分に対しては欠点を極端に強調して、良いところは過小評価するので、自分は駄目な人間だと思ってしまいます。
しかも他人に対しては良いところばかりが強調されて見えるので、さらに自分は他人より劣っていると考えてしまうのです。

⑧感情的論法
物事を判断する根拠が自分の感情になってしまうことです。
例えば、「私は罪悪感を感じる。
だから私は悪人に違いない」とか、「あの人と会うと不安を感じる。
だからあの人は何か問題があるに違いない」などと考える訳ですね。

⑨「すべし」表現
自分や他人が「こうすべきだ」という考え方から抜けられない傾向です。
例えば、「親なんだから、もっと理解をするべきだ」とか、「私は動作が遅いので、人の何倍も苦労するのは当然だ」などです。
こういう考え方は多くの場合、怒り、不満を強く有し、批判的であり、心のゆとりを奪い去っていきます。

⑩レッテル貼りと誤ったレッテル貼り
自分の誤りや不完全さを、一時的なものではなく、自分自身の不完全さだと思ってしまうことをレッテル貼りといいます。
例えば、仕事でミスをしたという出来事から、「私は落伍者だ」とか「私は能力がない」と考えてしまうことです。
誤ったレッテル貼りというのは、感情の乱れを元に、自分に不完全なレッテルを貼ることです。
例えば、ダイエット中に、ついケーキを食べてしまったとします。
すると「私はいやしい。
私は豚だ」という感情が湧き、そういうレッテルを貼って結局また大食いをしてしまうことになります。

⑪自己関係付け
自分とは関係ない出来事を、自分にとって意味があると考えてしまうことです。
例えば、いつも急いでいるときに限って渋滞に巻き込まれる・・と考えることはよくありますよね。

これらの考え方の傾向は、不利益な場合ばかりでなく、勿論その人の気持ちを楽にしたり、ひとまず先へ進むための結論付けなどに利用され、有効な場合も多いのです。
ただ、過剰にこれらの傾向が現れると、知らない間に歪んだ考え方から抜けられなくなることがあるということですね。
要は過ぎたるは及ばざるが如しということでしょうか。

:林先生のご紹介
今月はもう一つ話題があります。
札幌こぶしの水曜日に通院されている方はご存知でしょうが、今年の春から「林英伸(ハヤシ ヒデノブ)」先生にお手伝いしてもらっています。
先生は千葉県船橋市のご出身で、北海道に来られて20年になるそうです。
読書とパソコンがご趣味で、2年前からはスキーも始められたそうです。
「行動する精神科医」がモットーだということで、私とは大違い(笑)。
今後もお手伝いしていただきますので、皆さんよろしくお願いいたします。

・~~~お知らせ~~~
平成12年度岩見沢地方精神保健協会秋季講演会
●日時:平成12年10月28日(土) 13:30~15:30
●場所:岩見沢市民会館 2階音楽室
●講演テーマ:『子どもたちのこころとおとなの関わり方』
●講師:山谷敬三郎氏
※北海道浅井学園大学教授。
岩見沢では岩見沢教育大学道徳教育論非常勤講師、スクールカウセ ラーを現在も務められ、子どもの問題に積極的に取組まれている先生です。

・~~~読者の広場~~~
<食のシリーズ16>『胃カメラ体験記』ネコ吉
バイトを始めて数日目、食べ物が喉を通らなくなった。
ジュースでさえ気持ちが悪かった。
アカンな、これは・・・こぶしに予約無しで飛び込んで(ごめんなさい)、内科を受診するように案内状を持たされて、その足で総合病院に向かう。
長い時間、気持ちが悪い状態(その日は水分もあまり取れず)のままで、ひたすら待合室で待つ。
やっと自分の番になって、気持ちが悪くて、ほとんど何も口にしていない事を告げて吐き気止め入りの点滴を打ってもらう。
薬を頂いて帰る。
ずるずるとほとんど水分しか摂れない数日間。
再度内科に受診。
「胃カメラ、飲んでみない?」えー、うー?胃カメラ??管入れるの?「もう少し様子見させて下さい」でも、少しずつ食べられるものの、胃はそんなに良くなってくれない。
数日後「胃カメラ飲みましょう。
」と結局、胃カメラ予約を入れられてしまう。
管ですよ。
管。
きっとなんでもありませんと言われるに違いないとは思いつつ、見て頂いて、安心した方が良いから・・・と思って、管を飲む決意をしたのでした。
検査の前日は夕食は消化の良い物を8時までに食べ終え、当日の朝はコップ1杯の水を飲む。
内視鏡検査室に行き、まず、胃に色を付ける(胃をよく見るため)薬を飲みベットの上でころがる(1分づつ右、上、左、下を向く)胃にまんべんなく色が付くためと思われる。
喉の麻酔薬を口に入れられ、飲み込まないようにして3分間。
苦いし、麻痺していく感覚が気持ちが悪い。
腕に胃の緊張を取るための注射をして、診察台へゴー。
薄暗い中、横になって待っていると、先端がぎらぎらしている管登場。
「これを飲み込むのね・・・」と思うと悲しかった。
指を喉の奥に入れるだけでも気持ちが悪いのに、胃カメラはどんどん入っていってしまう。
看護婦さんが背中をさすってくれるも、「げーー」となってしまい・・・「力抜いて」と言われても、こっちも必死。
気分はやきとり(串にささっているから)。
なんとか飲み込んだらしいと思って薄目を開ける。
自分の口から管が入ったり、出たりしている。
「見るんじゃなかった」とチョー後悔。
終わりましたよと言われて、ふらふらと洗面台にて口を濯ぎ、お医者さんの話を聞く。
「なんでもないですね。
胃はきれいですよ」(ほら、やっぱり・・・。
)3回、胃カメラ飲んだ友人に話を聞くと、やはり胃カメラ飲ませるのに上手いヘタがあるらしく、本当に何でもない人と涙が出るほど苦しい方と居るそうです。
食べることも欲の一つ。
食べられない事は結構辛く、時折胃の調子を無視して食べては吐く(汚いですね、スミマセン)なんて事もしてしまいました。
ストレスがけっこう溜まるもので、潰瘍性大腸炎を持つ友人がいるのですが、「食べたいのに食べられない」辛さの、ほんの一端ですが垣間見た気がしました。
今はバイトも終わって、胃はなんでもありません(笑)ばりばり食いしん坊に戻ってます。
食べられる喜びを知った、一事件でした。
なお、今回の文章は「胃カメラ飲んだことないんだよね、どんなんだった?」と知りたがったF先生に捧ぐ文章であります。
以上、こんなんでした(笑)
まぐまぐ(メルマガ)出します。
良かったら読んで見て下さいね。
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