1999年08月
発行こぶし編集部
第133号
『患者さんの
上手な
お医者さんお付き合い術』
(~大月康義先生を迎えて、
再び~)三田村 幌

■患者学・患者塾
時々新聞に「患者学」とか「患者塾」などという話が載ります。患者さんの医療機関や医師・医療スタッフの上手な活用術などがそのテーマになりますが、実際に医師・医療スタッフと患者さんの診断的治療的関係の形成維持は難しいもの。

■何でも具体的に話そう
医者だからって偉いわけじゃない。心身の健康の相談を業として、患者さんはそのユーザー。遠慮することはない、必要なことは何でも話をしよう。但し具体的に!まずいのは「私はパニック障害です」などと自分で診断してしまうこと。医者(職人ですから)によっては「診断はこっちが下す。自分で診断するなら自分で治せ」と怒ってしまうでしょう。しかし最悪は遠慮して話さなくなってしまうこと。

■ドクターショッピングの危険
こうして納得が得られぬまま医療機関を転々とする患者さんがいる。俗に「ドクターショッピング」と言うのだけれど、もちろん転々する理由は様々である。この場合、間違えると毎回ゼロから診察が始まり、時間と費用が莫大になる。あげくの果てに最後に「確定診断」をした人が「名医」となるが、これは無駄な時間を費やしたために病状が進んで、そのために診断がはっきりしただけということも多い。率直に話してやむを得ぬ場合に限り「紹介状」を書いてもらって転院したい。

■医者と患者の相性
ウチの分野に限らず「患者さんと医者の相性」が良いかということが問題になる。殊に治療段階ではそうだが、これも表面的な相性というよりも、実は患者さんの症状と担当医の得意(専門)分野の関係が大きい。ある程度の治療関係が出来ると今度は患者さんは主治医を替えることに不安を感じる。こうして「患者は医療機関につくのではなく医者につく」という現象は、診療設備の少ない診療所では特にあてはまる。

■治療のマンネリ化と行き詰まり
しかし通院と治療を続けているということは、未だに心身の健康を回復しているとは言えない場合も多いからである。診断や治療の行き詰まり、60点治療でマンネリ化などの場合にはどうしたらいいのだろうか?再びドクターショッピングに走ってしまうのだろうか?

■対診の意義
こんな時には医者同志の了解の上で主治医を交代して、視点を変えて診察をしたり、患者さんも初心に返って医者に自分の病状経過を説明して診断と治療の再検討を求めることは時に有意義である。俗に対診というこの方法は医師同志が意見交換を出来る環境にあれが非常によい。

■共同で患者さんを診ているということ
今年の初めに札幌の藤田院長が医師の増員を目指したいとここに書いたが、諸般の事情から岩見沢が先に医師2人体制になった。8月1日から大月康義院長になり、三田村理事長と二人で診療をする。診療の効率もさることながら、以上に述べた診療の質を上げることを大いに願っている。さらに実は、私たち3人の医者は、形式的には札幌は藤田先生、岩見沢は将来大月先生が軸になって診療をする形になるかもしれないけれども、実質は常に「こぶし」に来る患者さんを3人の医者で共同で診ているという考えである。三田村が札幌に再びお手伝いに足を運ぶこともあろうけれど、今でもお互い情報交換・意見交換をしながら診療をしている。各院に通う患者さんも「こぶし」に通院して3人に医師に診てもらっているのだというつもりで、忌憚無く意見・注文・症状の訴えをしていただきたい。

■こぶし電話活用術(薬局で出される処方薬説明書とともに)
以上の体制が本格的に軌道に乗るにはまだいろいろと工夫をしなくてはならないこともあるだろう。今の岩見沢の留守番電話システムは大月先生に診てもらっている患者さんが利用しても、応答は三田村先生からなされる。さてここで最近診てもらっていない先生に状況を説明して大丈夫か不安になるかもしれない。こんな時に便利なのは調剤薬局で発行される「処方薬説明書」である。これを大切に手許に持って留守電を利用してほしい。医者は現在の処方内容が解れば、そこから病状経過を推測することが出来るし、それによってアドバイスもできる。これは留守電が通じにくい札幌の患者さんが岩見沢に電話をする場合にも言えることである。もちろん主治医が応答する場合でも、医者が患者さん全員の処方内容を記憶していることは不可能なわけで、留守電活用には皆さん常に手許に調剤薬局の「処方薬説明書」を置いてほしい。さらに名前と自分の電話番号は絶対忘れずに!

■大月康義先生の内緒話
先回、大月先生を紹介したけれど、折角だからもう少し内緒で彼のことを話そう。実は彼、真っ直ぐ医者になったんじゃないんです。高校を卒業して某国立大学で数学、特に難しい解析学を修めて、その上社会人として某大手コンピュータ会社で高次の処理プログラム制作に携わっていて、そこで考えて医大に入り直して精神科医の道を選んだんですね。だから医大に入ってからの勉学は経済面でも大変だったらしいですよ。しかし、普通に社会人を経験もして、また安易に類似物として見られやすいコンピュータと脳を区別してこの世界に入り直したあたり、面白いですね。ああ、また余計なことを書いて大月先生に怒られそう!あとは皆さん勝手に大月先生に聴いてみてください。

・~~~読者の広場~~~
<食のシリーズ6>

『アルコールを考える1』
ネコ吉
ビールの美味しい季節になりました。ビアガーデン、早く行たいです。 なんて、書いてしまうのはここではちょっと問題があるでしょうか? 大学時代の研究の中で、私はお酒を作っていました。(発酵学の一分野としてです。)日本酒、ワイン。シードル(りんごの発泡酒)では発生する炭酸に壜が負けて爆発する騒ぎになりました。(高価な機具を壊してしまいました。)ビールも作りたかったのですが、「作ってもマズイよ。」と言われて作りませんでした。と言ってもどれも市販のお酒の方が美味しいかったのですが。(日本酒は乳酸菌が発酵し過ぎて酸っぱかったですよ。) しかし、日本酒にせよワインにせよ作るのはかなりの労働です。製造方法単純に書くとワインですと、収穫-圧搾-発酵-種子果皮の除去-後発酵-おり引き-熟成-壜詰め。「圧搾」ひとつとっても圧搾するための機械が壊れそうになるくらいの力が必要でした。(いえ、壊したのかも。)「発酵」では良い菌をちゃんと発生させなくてはいけませんし、(雑菌も繁殖するする。)そのために温度管理にかなり気を使います。とにかくお酒を作るのはかなりの技なのです。良いお酒を作るのはなお優れた技術が必要な事です。(材料から保存方法まで気を配る事ばかり。お酒は保存状態が良い所で買いましょう。お勧めは西武の酒蔵だったんですけど・・・。)
お酒と文化は切っても切れない関係にあります。祭事やハレの日、ケの日には必ずお酒が出て来ます。ワインは「キリストの血」とも言われます。(ちなみにパンは体なんです。) でも、だからと言って飲酒を勧める訳ではありません。多量の飲酒は肝臓、膵臓に負担がかかりますし、様々な生活習慣病の発生因子です。(これからしっかり書いていきます。) 「お酒を飲んではいけない。」と言われている人は少しでも飲んではいけないと私は思います。
え??「わかっちゃいるけど、やめられない?」アルコール依存症ならばもってのほか。 私の父はアルコール依存症。暴れるんです。このごろは「警察呼べばいいんだわ!」って開き治ってます。(一度呼びました。)でも、依存症になる原因は家族にもあると言う・・・。本人が「止める」と言わない限り、よっぽどの事がないと医療にかかれませんし。 アルコール依存症の事をこの機会に考えるとしましょう。なにごとも前向きに。 依存症の親を持つ子供は依存症になりやすいとか。そんなふうにはならないように一緒に考えませんか?ちょっとシリーズ化してアルコールの害に付いて述べていきます。 アルコール製造者だった私が、お酒嫌いになんかなれないのよ。 日本酒もワインもビールも色々飲み出したら(こりだしたら)止らないんです。 でも、薬との兼ね合いでそんなに飲んでません!! でも・・・少しは見のがして。

■お知らせ
8/7土~8/15日
夏休み休診*
「開院記念・お盆まとめて夏休み」で休診です。通院や服薬の中断にはご注意!
8/18水:15:00
栗沢介護支援検討会(アルツハイマー病)講演*
8/26木:9:00~
老人介護講演(岩見沢保健所)*
9/21火
北電帯広講演*
9/22水
北電釧路講演*
他に、大月先生の学会出張との重なり合いを検討 診療時間案内に、原則として大月先生は研修のため水曜日は診療所不在と 明記