1998年11月号
発行こぶし編集部
第124号
『つれづれなるままに』
藤田毅

■雑感
早いものでもう11月なのですね。あっという間の1年だった気がします。
今回はいくつかのテーマでつれづれなるままに(笑)書き綴ってみたいと思います。

■薬の話 ~ 副作用は怖い!?
皆さんの多くは何らかの薬を使われていることと思います。
薬を頼りにしている人や不安に思いながら使っている人、さまざまでしょう。
以前にも紹介したかもしれませんが、今回は主な副作用についてお話します。
副作用と聞くとドキッとされるかもしれませんが、別に悪い作用ばかりではありません。
ある目的のために薬を使おうとする時、その目的以外の作用は全て副作用と言います。
ですから場合によっては、その副作用を利用することもあるのです。
例えば、デパスという安定剤があります。私は好んで使うので、札幌で通院されている方は飲まれていることが多いかも知れませんが、この薬の主作用は「気持ちを落ち着けること」です。
それを利用して不安感の強い方やパニック障害の方に多く用いられます。
ところがこの薬の副作用に「筋弛緩作用」というものがあるのです。
簡単にいうと筋肉を緩ませるということです。普通に考えると、だるさやふらつきのもとになりますが(安定剤は一般的に眠気が強いので、どれもこれもだるさやふらつきはある程度でてしまいます。)、この「筋弛緩作用」をうまく利用すると、肩凝りや筋緊張性頭痛という頭痛に有効なのです。頭痛薬として出されている薬の中にデパスが入っていれば、それは筋肉の緊張を和らげ、締め付けるような頭痛を抑えるためなんだなと思っていただいて間違いありません。
デパスに限らず、安定剤というものは多かれ少なかれ血圧を下げてしまう副作用もあります。
もともと低血圧の方には立ちくらみのようなものが起きてつらい副作用ですが、内科などでもこの副作用を利用して、高血圧の方に処方されています。降圧剤を使うまでもないが、もう少し血圧をコントロールしたいと言うときによく使われるのです。
このように副作用と言ってもむやみやたらに怖がる必要はなく、使い方によって有効利用される場合もあるのです。
では、有効利用できないマイナスの面が強い副作用にはどんなものがあるでしょうか。

■できれば出会いたくない副作用
不快なだけの副作用として日常よく見られるものに次のようなものがあります。先ほどのめまい、立ちくらみもその一つですが、他には、口の渇き、胃のもたれ、手の震えなどです。
これらは勿論、薬以外の原因でも発生しますので、気になるときは相談してください。
例えば口の渇きなどは薬物性と思っていたら、シェーグレン症候群だったなんてことも有り得ますから。
他に薬によっては体重増加をまねくものもあります。中には太りたいという方もいるでしょうから、その時は副作用でなくなってしまいますね。 また女性の場合、生理不順もみられます。来なくなったり、逆に長引いたりと人によって様々です。
またそれに伴い、胸が張ったり、乳汁のようなものがでたりする場合もあります。慌てて婦人科に駆け込む前に、相談してみてください。
他にもありますが、薬は正しく理解して使うと決して怖いものではありません。不安に思うことはドンドン聞いてみてください。

■予想と現実
私たちは色々な場面でショックを受けたり苦しんだりしています。
どうして自分はこんな目に合わなければならないのかとか、どうして順調に進まないのかとか、考えてしまいます。
そしてあげくの果てに、自分は不幸な星の下に生まれたのだなどと悲観的になってしまいます。(今時不幸な星の下なんて考える人もいないでしょうかね)
どうしてこういう失望感やストレスを感じてしまうのでしょうか。
ストレス反応の原因は、自分の予測(理想)と現実のギャップにあると言われています。
私たちは何かをするときに必ずこの結果はこうなるだろうと予測して行動しています。
それをはっきりと意識している場合とあまり意識せずに予測している場合とがありますが、いずれにしてもある程度、期待も込めて想像しながら行動しているのです。
勿論、とっさの行動とか朦朧とした状態の行動は別ですよ。
この予測と現実の間にズレがあったとしたら、どうなるでしょうか。大げさに言えば、愕然とし、うろたえて、失望してしまいます。
また逆にうれしい誤算というのもありますから、大きな満足に至ったりもしますね。
この予測と現実のギャップに絶えられずに病気になってしまうことが多々あります。
五月病などはこの典型ですね。私たちの生活の中でこういったギャップは数限りなくあります。
行き詰まったときにあわてずゆっくり考えて、自分の予測修正をすることが必要になるのです。
どうしてこうなるんだと思ったら、自分が思い描いていた予測、理想があまりに現実離れしていなかったかを考えたり、今ある現実を素直に受け入れて、そこから新たな予測を立て直したりということが必要なのです。
理想通りに行くのも現実、行かないのも現実です。ありのままで素直に受け入れていくことが大切に思います。

■ていうか~
最近は高校生あたりが発祥になっている新語が結構ありますよね。超なんとかっていう表現はもうすっかり市民権を得て、老若男女を問わず使われているような気がします。私もたまに使ったりしますが、それでも照れがあるのはそろそろ若者という範疇から外れてきている証拠でしょうか。ちょっとあせりますね。
この超~という言い方はいわゆる「とても」とか「非常に」という言葉の代替えですから、まあ何とか馴染めそうなのですが、未だに不可思議に感じる表現のひとつに「っていうか~」というのがあります。ていうか~ということは、単純に考えると否定、反論の類だと思うのですが、実は反対意見ではなく単なる言い換えであることが多いようなのです。
例えばこうです。
「これ、かわいい~!!」
「ていうか、超プリティっていう感じ~」
いやいや、笑ってはいけない。
これは先日、何げなく耳に入ってきた学生さんの会話の一部です。
かわいいとプリティは同義だと思うのですが、これはきっと英訳してくれたのだと無理に納得したのですが、問題はこの「ていうか」の使い方。
この会話は決して反対意見を述べているものではありませんが、接続語はこの後に反論が述べられることを予測させます。
この時点で私のように頭の柔軟性のない人間は混乱してしまうのです。
先に書いた予測と現実そのまんまですね。
(笑)友人と話す場面でも「ていうか」と言われると、私の話に納得できなかったのだなと考えて相手の話を注意深く聞くのですが、どうも反論ではないことが多いのです。
色々言い方を変えて話してくれていますが、結局同じ内容のようなのです。最近は、私の表現の仕方とは異なる自分なりの表現の仕方という意味での、つまり”反対表現”を表すための「ていうか」なのだなと解釈しているのですが、未だにどうも慣れません。もしかしたら「ていうか」は反対の意を表す接続詞ではないのでしょうか。
私の日本語もいい加減なものなので、どなたか持論をお持ちの方は教えてください。お待ちしています。(笑)
最近は段々と寒くなってきました。皆さんも風邪などひかれないようお気をつけください。

・~~~読者の広場~~~
「秋の気持ち」

秋が深まるにつれ、私は「寂しい」という気持ちが強くなってきます。
ジタバタしても、秋は勝手にどんどん進行して寂しい気持ちも強くなってしまいます。
秋の夜空も寂しく、見上げてもあまり明るい星が多くないのが特徴で、がらんとしています。
胸の中に黒い空洞が出来ちゃう感じすらします。 医学的に何か説明が出来るのかもしれませんが、そんな説明を聞いても「寂しい」はそこに居続けてしまいます。
11月の17、18日は‘しし座流星群‘という流れ星が多く流れる日があります。ちょっと楽しみにしています。
「流れ星がいっぱい見たいな。」
私の心の空洞にも、光がやってくるかもしれません。
でも、
ずっと消えて寂しいかもしれません。夜空を見続けているうちに時間は経って、寒いけど明るく輝く冬の星座達があがって賑やかになります。
オリオン座に向って「やあ」と明るく挨拶している自分にそして気が付くのです。
(ねこ吉)