こぶし

ミニこぶし便り 2017年4月

2017年4月
ミニこぶし便り。 再開第一号(不定期です)
『うつ病の経過』
 藤田  毅

うつ病は、名前だけは十分に知られるようになりました。
しかし、そのプロセスはまだ十分に知られていません。
もちろん個人差も多々あるでしょうが、
大きな流れは、どの方も同じように思えます。
今回は、そのプロセスをお話しします。

その前に、多大なストレッサーを受けてストレス反応が出ると、
どんな変化が起きるかを説明します。
ストレス反応の出方も個人差がありますが、大きく分けて三つの反応が現れます。

第一に、社会機能の低下。
集中力や判断力など私達が仕事をしたり、作業をしたりするときに必要な機能のことを、社会機能と言いますが、これが落ちるために、作業効率が悪くなったり、ケアレスミスをしたりします。同じ事ばかり考えて、なかなか先に進まないときなども、この社会機能が低下していることが疑われます。

第二に、感情面での変化。
ストレッサーを受けると、落ち込むのではないかと感じる人が多いようですが、一般的に、苛々感が先に現れます。みなさんも仕事が立て込んできたりすると、苛々して身近な人に八つ当たりしてしまった経験がないですか? このように、最初は苛々や易怒性が現れる事が多いのです。

第三に、身体面での変化。
これは倦怠感、易疲労感です。いくら休んでも疲れがとれない、何かをするとすぐに疲れきってしまう、などの状態を経験されていることでしょう。 これらの変化が、私達の身には始終起きています。しかし、通常はレジリエンスと呼ばれる抵抗力があるので、意識しない内に回復し、またストレスを受け…と言うことを繰り返しています。 ところが、この抵抗力を越えるストレッサーに晒され続けると、やがて病的な状態に移行してしまいます。その一つがうつ病というわけです。

うつ病傾向になると、どんな変化が起きてくるでしょうか。
これも個人差はあり、当てはまらない人もいらっしゃいますが、一般的には、まず社会機能の低下が更に顕著となります。仕事であれば、作業のスピードが落ちて、ミスを連発する状態です。普段ならしないような凡ミスも多くなります。
そこから更に抑鬱状態が進むと、意欲減退が現れます。どうにもやる気が出なくなり、好きだったことにも手を出すのが億劫になってきます。 そして、最終的に、抑鬱気分、つまり憂鬱な気分が取れなくなり、さすがに自分でもおかしいと気付き、病院受診を考え始めます。

このように病状の悪化は、ストレス反応から始まり、社会機能の低下、意欲減退、抑鬱気分と進行して行くのです。
逆に、治療が始まり、回復していくときは、この逆の事が起きます。 まず、気持ちが少し軽くなります。重苦しかった気持ちが徐々に改善し、気が楽になってきます。
その後、意欲が回復。少しやる気になってきて、身の回りのことや簡単なことを手がけるようになります。外出を始めたり、食事がおいしく感じてきたりもします。 この意欲回復が日常生活に与える影響は大きく、もう治ったかのように感じる人も出てきます。仕事で病休を取っている人は、そろそろ会社に行かなくちゃ、と考え始めるのがこの時期です。
しかし、実はこの後にもう一つ乗り越えなくてはならない段階があるのですが、その前に仕事復帰をしてしまうと、職場に行ったものの仕事にならず、自信を失って再び休職ということになりかねません。
その最終段階が、社会機能の回復です。
その社会機能、つまり集中力や判断力、記憶力などですが、これらがしっかり回復してこそ、本来の回復、病気の寛解となるのですが、ここまでいくのに実は結構時間がかかります。
そのため、うつ病を始めとした精神疾患の治療には、じっくりと腰を据えて、長期間の治療を覚悟して望むことが必要になってきます。
病気になると本当に大変ですね。ですから、最初にお話ししたストレス反応が出ている段階で、何らかの対応を取ることが大切になってきます。しかし、そういう事に気を配る日本人は少ないようですが…。

みなさんは病気の治療という段階に進んでいますが、周りの方々を見てみるとどうでしょう?
 このストレス反応が出ていても、気にも留めずに無理をしている人はいませんか? そういう方にはみなさんから声かけをしてあげてください。 ちょっと立ち止まって休みませんか・・・と。