こぶし

こぶしだより 2003年07月号

2003年7月号 発行こぶし編集部 第180号

『不安って厄介者!?~不安とオープンについて』  藤田 毅

季節のごあいさつ
夏ですねえ。でも結構肌寒い日も・・・。この気温差のせいか、日中の眠気を強く感じられる方が多いみたいです。
春は春で眠いし、夏は夏で眠い。
どうして夜眠れず、こんなに昼間なら眠れるのでしょうね。
これはひとえに眠らなくては・・・という切迫感が原因なのです。
寝なくては明日が辛いと思って懸命に寝ようとすれば、当然気持ちは高ぶって余計に眠れないという訳です。
何事もリラックスが大切なのですね。
皆さんは覚えておられるでしょうか?
2002年の7月に慢性骨髄性白血病と戦っているパニック障害の患者さんをご紹介しました。
あれから一年。
自らの死を覚悟し、人生観さえ変わってしまった彼女は一体どうなったのでしょうか。
実はその後、新薬の効果が現れて、何と癌細胞が消えてしまったのです。
著しい不安に襲われ、辛く大変な毎日でしたが、それでも一生懸命に病気と闘い、ようやくの思いで癌を克服したのです。
まさに努力と忍耐の結果でした。
現在もまだ再発予防のため通院と服薬を続けていますが、もうおそらく大丈夫でしょう。
私は彼女の闘病に関わりながら、教えられる事が沢山ありました。
皆さんも今の病気に絶望することなく、無理をしなくてもいいですので「出口は必ずある」と信じて生きていきましょう。

学会の話
土曜日に来られている方々にはご不自由をおかけしましたが、先日、休診して「プライマリケア学会」に参加してきました。
プライマリケアというのは、患者さんが初めて病院を訪れたときの最初の医療を指します。
内科の医師が多かったようですが、特定の科に限らず、色々な分野の方々がその役割を研究・実践されていました。
こぶしクリニックは、病気であるか否かに関わらず、割とどのような心の悩みでもお受けしていた性格上、プライマリケアの特性を有していると言えそうです。
しかし、精神科・神経科ですから内科の医師から見れば専門医。
かといって大学病院ほど専門でもないし、丁度、本来のプライマリケア医と本来の専門医の橋渡しのような位置にいます。
私は密かにこれを「ちょこっと専門医」と呼んでいますが(笑)、何にせよ、心の問題を感じて来られる方々にとってプライマリケアとなる場合が少なくないですから、そのつもりで参加してきたのです。
そこで感じたのは、当たり前のことのようでもありますが、どのような病気でも多かれ少なかれ精神的な問題が色々な時点で関係してくるということです。
確かに病気になって喜ぶ人はそういないでしょうから、大抵の方は困惑されたり、不安になったりするはずです。
しかし残念ながら、そのような精神的な問題が重要なのだろうなという”印象”を持つ医療関係者は多いものの、きちんと”学ぼう”とする人は多くないように感じました。
ほとんどのケースで病気に基づく「不安感」が重大な影響を与えているのにも関わらず・・・。

不安の話
多くの病気に必ずついてまわるのが不安感です。
不安感は元々生命を守るための安全装置なのです。
自分の身を守るためには常に外部に対して警戒していなくてはなりません。
それが動物の本能としての不安感でした。
いつでも逃げ出せるように、いつでも身構えることができるように、危険を察知するためのセンサーの働きを最大限にしたのが不安感というわけです。
しかしその重要な機能でさえ、度が過ぎるとかえって厄介なものになります。
不安をコントロールできるうちはいいのですが、できなくなってしまうとその力に当の本人が振り回されてしまいます。
落ち着かない状態に陥り、動悸や息苦しさなどの身体症状が発生し、あげくには深い絶望感にまで達してしまいます。
そこまでいかなくても、ほとんどの病気で不安感は不快な思いをもたらすわけです。
ですから、認知療法も薬物もその役割は不安感を制御するということに尽きると言っても過言ではありません。
本来、身を守るはずのものが、自らを苦しめる要因になる。何とも皮肉なものです。

オープンキッチンって・・・
先日、私の家の近隣にオープンキッチンのイタリアンレストランができました。
早速、出かけてみたのですが、私は初めてオープンキッチンというのを間近で見ました。
昔から、一流の職人がその調理技術を見せるということは行われていましたし、ピザの生地を作る技術などは感嘆するものがあります。
私はそんな感じを抱いていたのですが、実際は家庭的な雰囲気を醸し出すためのとは言え、調味料の缶が丸見えだったり、布巾が無造作に置いてあったりするのを見ると、少々興醒めという感じがしました。
たかがオープン、されどオープン。
何を意図するかを明確にしていかないと、単に見せるだけでは意味がないこともあるのではないでしょうかね。

診療情報開示
オープンと言えば、個人情報保護法案の一つとして患者さん本人に限りカルテ開示されるようになります。
今後2年間で実際に施行されますが、これもオープンの一例ですね。
私自身、カルテ開示は重要なことと考えていますし、皆さんの中には実際にご自分のカルテをご覧になった方もおられるでしょう。
もっとも、実物を見てみると大した事書いてないなあとがっかりされたかもしれませんが・・・。
ですが、カルテ開示は良いことばかりではありません。
問題もそれなりに有しています。
例えば、患者さんが病名をご存知ない場合です。
痴呆の方など軽症ですと認知機能は保たれていますので、ご自分が痴呆と診断されていることに落胆されることもあるでしょうし、癌や慢性疾患から精神症状を引き起こしている場合は、その元々の病気が告知されていない場合もあるでしょう。
その場合でもカルテを見たら一目瞭然なわけです。
また、ご家族が内緒で来院された場合も問題です。
よく「本人には言わないで」と依頼されて、ご家族が来院される場合がありますが、これもその事実をカルテに記載しないわけにはいきませんので、患者さんご自身がカルテを見れば、すぐに分かってしまいます。
情報開示では進んでいるアメリカでも、開示用のカルテと医師の覚書(裏カルテみたいなものですね)の両方が存在しているという話も耳にします。
オープンにするということもその意義をよく考えないと、単なる情報の垂れ流しになるだけで、何のメリットもないということになりかねませんね。

余談
ガーデニングの季節になりました。
皆さんの中にも庭を綺麗に作ったり、お気に入りの鉢植えを大事に育てておられる方がいらっしゃるでしょう。
元気に育っていく植物を眺めているのも良いものです。
そう言えば、先月末から札幌で花フェスタをやっていますね。
私も覗いてこようと思うのですが、昨年は残念ながら時間がとれませんでした。
今年は行けるといいのですが、どうなることやら・・・。 こぶしクリニックはこの7月でいよいよ9年目に突入です。
初心を忘れず、誠意を持って、皆さんのお手伝いをさせていただきたいと思っています。

〈食のシリーズ46〉『カレーの季節』 ネコ吉
夏が来ると食べたくなるものの一つにカレーがあります。
カレーが食べたくなると夏だな、なんて逆に思ったりもするのです。
この時期、雑誌の特集も組まれたりするのでこの意識は私だけではないはず。
それにしても札幌はとてもカレーにこだわりがある都市だとは思いませんか?ジャガイモ、タマネギの産地だからかもしれませんが。
 札幌の代表的な食べ物となった、スープカレーはここ数年お店の数が急激に増えました。
アルバイトや修行していた人達がのれん分けして開業したのでしょうが、それにしても経営が各店成り立っていますので、マニアで食べ歩きをしている人もいますが、日々多くの市民が店に足を運ぶのですね。
とろみの無いカレーは食べ慣れた人以外は驚くようです。
カレーの本を読んでいると「もっととろみがあったほうがいいのではないか?」なんて言っている関東圏でカレーに詳しい人が述べていましたが、それは、スープカレーはさらさらスープじゃないとねえ~なんて反論したくなります。
ラジオでは札幌で仕事に来たタレントさんをカレー屋に連れて行き、無理矢理食べさせる企画もあって、(いやいや食べても、食べ終わった時には好きになっている!?)それがタウン誌に記事にもなっています。
なんだか苦しい企画ですがスープカレーを多くの人に広める策の一つなのでしょうね。
レトルトカレーでも登場しましたが、やっぱり札幌でしか売れないらしいです。
 なぜ、札幌はスープカレーなのか?憶測なのですが1つ目はラーメンにこだわりがある土地柄であること。
ラーメンの麺は業者に任せるのですが汁はダシにこだわり、各店味を競い合っています。
スープカレーを初めて食べた人の感想に「チキンヌードルにご飯を入れたようだ」でしたから当たらずとも遠からずではないでしょうか?2つ目は寒い土地であること。
温かいたっぷりのスープ、暖まる様々なスパイスは冬に凍えた体で食べるのも美味しいですね。
辛さをいつもより増強させると発汗作用がありますから夏も美味しく頂けます。
3つ目は広めようとした人々の熱意がある、そう言った方がいます。
スパイスの本場やカレーの故郷に年に何度か行きスパイスを買い付けるお店も少なくありません。
そこまでして本場の味や香りにこだわれるのは熱意が無ければ出来ませんね。
今では多くのスパイスが札幌でも購入できるようにはなりましたが10年以上昔はそんなに流通がよくありませんでしたから、海外に赴き大量のスパイスを買い付ける必要があったでしょう。
そこまでして続けてきた人々に感謝ですね。
 ところでカレーは日本で言う「みそ汁」みたいなものです。
みそ汁ぶっかけご飯(?)。それがお袋の味なのであって、カレーと言うメニューは無いのだそうです。
スパイスは味噌みたいなものでしょうか?各家庭でスパイスの配合が異なり、そこそこのオリジナルの味と香りがあってそれが代々その家庭の味として受け継がれて行くのだそうです。
インドだけでなく近隣の国に様々な地方色豊かなカレーがあるようです。
 ナンプラー(漁醤)が平気な方はタイのカレーが簡単に作れてオススメです。
タイカレーはレッド、イエロー、グリーンの3種類が紙の袋で発売されているのをあちこちで見ます。
袋の説明通りに作れば大丈夫。
材料とタイカレーペーストを炒め、煮てココナツミルクとナンプラーを加えれば短時間で美味しいカレーが出来ます。
カレーペーストはかなり辛いので加減しましょう。
ご飯ではなくソーメンを添えるのが好きです。
 先日レトルトの「冷製カレー」なんて冷やすカレーも食べましたが・・・いえ、レトルトカレーも種類豊富。
カレーのサイトが多く存在します。
様々なカレーにアタックしてください。
カレーは奥深く香りのごとく複雑なのです。