こぶし

こぶしだより 1999年04月号

1999年04月
  発行こぶし編集部
第129号

『リング-現代の「怪談」を考える-』
三田村 幌

今回も遊び心で書いているけれど、年寄りの立場から現代若者文化について率直な感想を書かせてもらおう。若者にも、そして私の世代に近いそのお父さんと母さんにも読んでいただければ、親子の会話もはずむ・・・カナ?

 若い人の間で恐怖映画「リング」が話題になっていた。そんな時、偶然TVでそれが放映された。「あぁ、これか」とチョット眺めていたが、ついズルズルと最後まで見てしまった。面白い!しかし何かシックリこない。続いて映画館で「リング2」が上映された。意を決して10数年ぶりに行った映画館の雰囲気は昔と違った。しかしそれ以上に「リング2」に疲れた。その話を札幌の藤田院長にしたら、この鈴木光司原作のシリーズに「らせん」というのがあり、彼は既にそのビデオも見ているという。なるほど藤田院長は私より遙かに若者世代だ!私も遅ればせながらレンタル・ビデオ屋なるところに、これまた7年ぶりに足を運んだ。場違いと感じ恥ずかしさに耐えて通った甲斐あって遂に「らせん」も見ることが出来た。以下はその感想。しかし映画の要約はこれから見る人の楽しみに極々簡単に止める。

A.「リング」
 高校生を中心に「呪いのビデオ」が話題になり、それを見るとその1週間後に死ぬという。死なないためには、それをダビングして他の人に見せると良い。実際に怪死が相次いで、浅川玲子と高山竜司はそれに巻き込まれる。二人はそれが山村貞子の怨念によるものと確かめ、彼女の遺体を「救い出した」が、高山竜司は最後にTV画面から出てきた山村貞子に殺される。

B.「リング2」
 ビデオを見て死んだ高校生の友人、倉橋雅美は精神科病棟に入院する。医師は彼女に憑いた山村貞子の怨霊を電気生理学的に研究し、その除霊を試みる。しかし高山竜司の恋人、高野舞と浅川陽一(玲子の子供)の他はみんな死んでいく。玲子に続いて調査していた岡崎も精神病院の保護室にいて、彼がビデオを見なかったために死んだ沢口香苗の霊が彼の背後で笑っている。

C.「らせん」
 法医学の医師はこの連続怪死の原因がウィルスであることを見出す。山村貞子の怨霊がビデオや手帳から視覚を介して人間のDNAに影響を与えるという。こうしてウィルスが際限なく世界に拡がることを承知の上で、医師は自分と息子の命を引き替えに山村貞子の怨霊に協力していく。

●現代日本の「怪談」
 これらの映画の第一印象は「あぁ、これは怪談だ」ということ。私達は小さい頃「四谷怪談」などの映画を恐る恐る見に行った。雰囲気がそれと同じ。海外のホラーも若者に人気があるようだが、それとは違うこのリング・シリーズが日本の若者に人気なのは、この日本的怪談の雰囲気の故かもしれない。しかしまたこのシリーズが昔の怪談とも大いに異なることにも注目したい。 (この3つの映画は独立したものではあるが、要約から察せられるようにBもCもAの続編である。しかしAB、ACはそれなりに整合するものの、BとCは全く矛盾する内容である。この矛盾も現代の「怪談」である。原作者のもう一つの作品「ループ」で統合されるのだろうか?)

●現代日本の高校生
 舞台は複雑な人間関係を呈する江戸時代ではない。表面的で希薄な人間関係の多い現代、特にそうした状況に置かれている高校生。今日、流行や情報の発信源は高校生であるが、この「呪いのビデオ」もそうである。映画にも表面上明るく、しかし本音の恐怖心を親友にも話せない高校生、時にはトンデいる行動に走るが、その交友関係にも疑心暗鬼に陥りやすい高校生の男女が描かれている。かつて明治以来の再大流行をした「コックリさん」も中・高校生が中心であった。

●現代の社会現象
 「呪いのビデオ」から「不幸の手紙」を思い出す人も多いだろう。同じ手紙を他の人に出さないと自分が不幸になる。こうしてある時期「不幸の手紙」はネズミ算式に増え続けた。手紙がビデオのダビングになり、不幸が死という極に達したのが「リング」である。「怨念」なるものも加わって現代の怪談は成立したが、しかし似た現象は若者世界だけではない。インターネットでコンピュータ・ウィルスが伝染し、私宛にも「ウィルス情報」を知らせるEメールが来て、「このメールを多くの人に転送してください」というが、実はその内容はデタラメだったりする。最近の「メリッサ」ウィルスもEメールを自動発信し自己増殖するものだった。こうした現代、中には「らせん」の物語をあり得ることと信じてしまう人もいるかもしれない。

●現代の風潮
 昔の怪談では、特定対象に鉄槌を下し恨みを晴らせば怨霊は消えた。幽霊も浮かばれれば成仏する。化け猫だって主人の恨みを晴らせば元に戻る。しかし現代の山村貞子の怨霊は憎しみの対象に向くのではなく、不特定の人間を次々と殺す。霊を救った高山竜司をも殺す。沢口香苗の霊のように逆恨みまである。現代の若者に怒りや恨み、不安感の存在を否定はしない。しかしそれをその特定対象に向けるのではなく、キレれば対象はどうでも良い。それで良いのだろうか?  玲子「あの噂は何処から来たの?」竜司「最初に言いだした奴なんかいない。みんなが不安に思ったことが噂になる。あるいは、そうなって欲しいって期待かな?」(リング)  川尻「あの子(陽一)を支配しているのは"怒り"の念だ。おそらくその"怒り"が山村貞子を呼ぶ。本人にも制御できない。」(リング2)  陽一を抱いて井戸から抜け出そうとする舞を制止して山村貞子の幽霊が「何であなただけ助かるの?」(リング2)  舞に憑いた山村貞子の霊「私の味わった苦しみを、みんなにも味あわせてやる。」(らせん)  昔の幽霊を愛する私は、こうした現代の怨霊にいささか怒りと悲しみを覚える。世紀末の風潮に乗じた現代の若者の未来喪失感の反映なのだろうが。

●科学と非科学の間
 「リング2」の精神科医は脳波で念力を見ようとする。描かれる精神科病棟もそこの患者の姿も現実のそれとは全く異なる。「らせん」のウィルスの写真はメチャクチャで、光学顕微鏡で見えるわけもない。娯楽作とはいえ、作者が誤解と偏見とデタラメを植え付けることは許されない。  現代の霊力は印画紙の銀化合物やテープの電磁気を頼りにしか念写が出来ず、ブラウン管を通じて出現する。人間の科学技術を頼りにする幽霊とは情けない。「らせん」の最後で、クローン幽霊を沢山作ろうなんていうのはもってのほか。超常現象と科学の区別は厳しくありたい。
●視覚文化と活字
 このシリーズが若者に人気なのは鈴木光司の原作小説よりも、その映画化によるのだろう。視覚(visual)世代の若者には当然のことだが、私の世代が観ても面白い。しかし今回、シナリオと映像を比べて、私自身映像だけではいかに多くの細部を見落としていたか気付かされた。視覚化の効用を否定はしないが、活字を追ってジックリと情報を得ることの大切さも若者に訴えたい。 おわりに  老人は若者を理解しようとするが迎合はしない。世代間バリアを外して大いに議論しようではないか。なおこの「こぶしだより」を他の人に読ませると、君は助かる・・・ナ~ンチャッテ!

~~~ 読者の広場 ~~~

『YOSAKOI』みやび
 去年に引き続き、今年も私はYOSAKOIソーラン祭りに参加しようと思っています。でも、去年一緒に練習した友達が今年は出られなくなり、一人になった私は前のチームの人間関係に入っていけなくなり、悩んだ末、一人ぼっちで他のチームに入ろうと決意しました。弱虫の私は途中参加はとても苦手なのに力をふりしぼり、ほとんど仲間の出来かかってるチームへ飛び込んだのです。  結果、とても良い友達が3人でき、周りの人達の暖かい言葉が私を迎え入れてくれました。祭りは6月。今年の初夏はどうやらこのチームで踊ることになりそうです。

『待合室』 T・Y
 こぶしクリニックに通い始めて6年、私にとってクリニックの待合室は心癒されるひとときであることが多い。何年も通ううち名前も知らない顔なじみの人に逢った時、先生の前ではかまえて、良いふりをして弱音を吐いたり出来なくて、自分に言い聞かせるように強がりを言ったりしてしまいがちな私も、素直な気持で同じ様な病気を持った人に心の内の弱さを話す事が出来る。  時には、私の経験に「私も同じ様な事を思った。同じ様な事があったよ。解る解るその気持。」と言ってもらった時、とても嬉しい。悩んでいるのは私一人じゃないんだ。みんな、色々な問題を心の内に抱えているんだと思うと元気が出ることが多い。  そして、もう少し先生にも見栄を張らずお話出来る様になりたいと思う今日この頃である。これは、私だけかもしれませんが・・・。              

<<食のシリーズ 2>>

『気楽にしっかり、朝ごはん!』
ネコ吉
 4月に入って、新しくスタートを始める人が多くいるのではないでしょうか?入学、入社等など。期待する反面、緊張もしていることだと思います。今まで不規則だった生活を正さなければならない、そういう人もいる事でしょう。通勤、通学のため朝早く起床しなければならない、朝早く起きるのはツライし、起きれるかどうか不安だな・・・なんて思っていませんか?  人間は時計を持っています。その時計を生体リズムと言いますが、1日に1周するリズムを人間は持っていて、時間になるとお腹がすいたり、眠くなったり。朝体温が上がって、夜寝る前には低くなる。そんな自然に起こるリズムをサカディアン・リズムと呼んでいます。でも、このリズムは、不規則な生活でずれてしまうことがあるのです。このリズムを崩さないためには決められた時間に食事をとることが重要なんです。  朝、食事をとってますか?目を醒ますためのは朝食が大事なんです。食べる事によって、体に「朝なんだよ。」と知らせてあげるサインを送ってあげるのです。体の時計はサインを受け取って、目を覚まし始めます。そして1日のスタートを歩き出すエネルギーをここでとらなくてはならないのです。朝、忙しいから、ギリギリまで寝ていたいから、なんて理由で朝食をおろそかにしていませんか?3食の食事の中でも重要な食事なんです。  少し早起きして朝食を食べてみませんか? ほかほかの御飯に豆腐の入ったおみそ汁。赤いトマトとパリパリしたレタスのサラダ。焼き立ての卵焼き・・・なんていいなあ。でも、まずは簡単な食事(牛乳やバナナだけでも)からでいいですよ。さあ朝食も4月からスタートしてみましょう!