こぶし

こぶしだより 2000年07月号

2000年07月号
発行こぶし編集部
第144号

『認知のゆがみを
チェックしましょう!!』
藤田 毅

●ごあいさつ
今月は札幌こぶしクリニックの開院記念の月です。皆さんのおかげで無事に5周年を迎えることができ、いよいよ6年目に突入です。少しでも皆さんのお役に立てるようスタッフ一同努力していくつもりです。一日も早い回復を目指しましょう。

■物事を見る視点
 今月は認知についてお話しようかと思っています。  私たちが日常生活をしているときにあまり物事の見方、視点について意識することはないかもしれません。しかし、私たちは刻一刻と変化する周囲の事象に各々独自性のある判断をしています。  例えば、いつも悲観的な見方をする人とか、楽天的な人とか、大げさなことばかり言う人、なんて、その人ごとに特徴的な判断、物の見方がありますよね。これはその人の個性ともいうべきもので、悪いものではないのですが、病気の時にもこのような特徴的な見方が存在するとしたら、この見方の偏りを知ることは有意義なことと言えそうです。  また、情報が少ないと、この見方が偏ってしまうこともあります。例えば、高血圧の薬は一度飲み始めると止められないとか、睡眠薬を使うとボケるとか、こういった間違った情報しか得られないと、薬に対する見方が偏ってしまいますね。逆に漢方薬は安全なんていうのも間違いで、これも見方を偏らせてしまっています。 こういう物事の見方を認知といいます。

■認知療法
 この認知という考え方を用いた治療を認知療法といいます。認知療法は、ペンシルベニア大学の Aaron T. Beck によって作られました。当院でも一部の方にはこれを応用した簡易認知療法とでもいうべき治療手法を用いていますが、効果も結構期待できる治療法です。うつ病や神経症など数多くの病気について、こういう認知の偏り、ゆがみがあるんだよという「認知モデル」というものが提示されていて、自分の認知の偏りを知ることで、あるいは修正していくことで、気持ちが楽になったり、前向きになったりしていくのです。  話は少し難しくなりますが、この治療法は決して病気の原因を探るものではなく、あくまでも「このような偏った見方が存在しているから、こんなに辛い気持ちになるんだ」ということを説明し、修正していくためのものなのです。 では、一般的にどんな偏った考え方が存在するのか、認知療法を元にして、知らず知らずに陥っていた物事の見方の偏りを探索してみましょう。

■ネガティブな認知のゆがみ
 これから代表的な認知のゆがみを紹介します。もちろんポジティブな方向へゆがんでしまう認知もあるのですが、ここではわかりやすくネガティブなものに絞ってご紹介します。ご自分でも「ああ、こういう考え方をしがちだなあ」と思われるものがあったら、それはゆがみなのですから、修正していこうという気持ちを持ってください。

①全か無か的思考
 言動や資質、現象に対して、黒か白かという明確な区別をして、極端に考えてしまう傾向をさします。例えば、一等賞でなければ、後はみな評価に値しないというような場合です。オリンピックなどで金メダルがどうしても強調されてしまうのも、この例といえるでしょう。こういうタイプの方は、一等賞でなければ(それはあくまでも自分で納得できる一等賞ですが)ずっとそれを追い求めつづけ、結局得られないと悟ると絶望し生きる価値を見出せなくなってしまうのです。

②破局的な見方
 自分に自信が持てず、いつも悲観的、破局的な考え方をしてしまう傾向をいいます。つまり、良いことが続いても、一つの良くないことを必要以上に悲観して考えてしまうのです。このため例えば、晴れた日の青空を見ても、わざわざ小さな雲を見てしまうようになります。抑うつ状態の方は、こういう偏りが多くみられます。有珠山の噴火を悲観的に捉え、世界の終末にまで考えが及んでしまうという人もおられるかもしれません。

③過度の一般化
 一度の嫌な出来事が、何度も繰り返しおきてしまうに違いないと結論付けてしまう傾向をさします。例えば、一度試験のときに異様に緊張してしまうと、次の試験からも「自分はこういう時、必ず緊張して失敗するんだ」と思い込み、その暗示のために、予想通り(?)失敗してしまうのです。このゆがみは意外と多く存在しているのですが、恋愛問題で、一度ふられると、もう自分は異性との交際ができないのだと思い込んでいるなどというのもこれに当てはまりますね。

④選択的抽出
これは破局的な見方と結びついて見られることが多いのですが、多くの条件の中から1~2個の条件だけを抜き出して、後は無視してしまう考え方をさします。例えば、それまでずっと自分を支えてくれていた友人が、一度だけ予期しない意見を言ってきた後、その友人の言葉の全てを信じられなくなってしまう、などというのは、このゆがみのためなのです。また、自分の期待することをしてくれないためだけに、相手のその他の努力全てを受け入れられないという場合もあるでしょう。自分の注目する観点からなかなか離れられないというわけです。

■後は次回に・・
 他にも認知のゆがみはいくつかあるのですが、その紹介は次回とします。こういう考え方や捉え方を変えていくことで、今の苦しみや悲しみから解放されることは少なくありません。自分を客観的に見るには、日記をつけるのが良いと思いますが、それを後日読み直して、日記上の自分にこのような認知のゆがみがないかチェックしてみると意外な側面を見つけることができるかもしれません。お試しを。 ところで、来月は例年通り、夏期休暇をいただきます。札幌は8月15日より19日まで休診となりますので、お薬など切らさないようご注意ください。

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お知らせ
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「岩見沢の
8月からの診療について
若い人へのお願いと課題」
三田村 幌

 表紙に書かれているように私の8月からの岩見沢での診療時間が変わります。前回も書きましたが、小生の心身の不調はさらにピークに達し、その後鬱病に加えて、9年前の交通事故の後遺症が今までにない酷さで再燃して右腕が麻痺し痛んで苦痛の日々が続きました。今何とかピークは脱したようですが、やはり自分の健康を考えつつ、ひとつの時代の変わり目を自覚すべき時なのでしょう。しかし過渡期の仕事も残されています。そこで、岩見沢では水曜日のみ午前中は外来診療、午後は往診ということに時間を使うようにします。これは介護保険関連でお年寄りの治療と介護支援(ケアマネジャーとして)の仕事の目途が立つまで必要と思われます。従ってこの水曜日は老人、特に要介護の方々の診療ということになりますので了解ください。一方、札幌ではもう一人の常勤医の目途が立つまでということで、従来どおり週2回(火・金曜日)お手伝いにあがります。(他に藤田先生や大月先生の対外的スケジュールによってピンチヒッターなどを行いますが、それによる診療時間の変更などは毎月のこぶしだよりや各診療所の掲示板を見ておいてください。)他に精神保健相談や、児童相談所の嘱託、知的障害者施設への往診などもありますので私の他の曜日が必ずしも空いているわけでもないこともご了解ください。

尚、ここで特に岩見沢で従来私が診察していた若い患者さんに主治医交代があるということを理解して頂きたいと思います。当院を受診する少なからぬ若い人の症状や悩みの背景には「対人関係形成維持の困難」があります。そういう方々にとってやっと形成した主治医患者関係を新たに作りなおさなくてはならない課題が生じます。そのことに強く抵抗を感じる方もおられるでしょう。しかし「対人関係形成維持の困難」が学校や社会で生きていく上で克服すべき課題であるならば、まずは治療的理解の中で作られている診療所内の人間関係の中でその一歩前進を図ってほしいと思います。私から大月院長に診察が変わって再び同じような話をしなくてはならないこともあるでしょう。しかし、その中で自分の課題などを再確認しながら、そして再びいろいろな相談やお話ができるようになること、それ自体がこうした若い人たちには成長と治療の一歩になると思います。今回の事態もそのように前向きに受けとめていただけると非常にうれしいです。

 今お願いしたような若い方々以外にも、私たち「こぶし」の診療所はそこの医者全員が皆さんのカルテを共有してみんなで皆さんの診療に当たっているのだということも、改めてご理解ください。一番老いた医者の心からのお願いです。

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薬の中断にご注意を!!
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こぶしクリニックの夏休みが決まりました。
札幌こぶしクリニック
8月13日(日)~8月21日(月)

こぶし神経クリニック
8月12日(土)~8月20日(日)

今回のお休みは二院がほぼ一緒ですので、薬が中断しない様に予めご注意下さい。

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読者の広場
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『YOSAKOI』
まりな

 今年もYOSAKOIが終わりました。
 踊り子3年目の私はもうそろそろ年齢に付いていけないものを感じながらも必死に頑張りました。当日はみんなの前ではおクスリも飲めず、終わり頃にはちょっと不安になりましたが、健康なみんなにもそれは言えた事です。何も病者だけではないんだな…という事がわかりました。  この3年の中では個人的に今年が一番楽しいお祭りでした。 祭り全体では嫌な事件も有りましたが、それにも負けず来年も実行して欲しいです。私は3年という月日をひとくぎりにし、踊るかどうかは謎ですが(笑)。

<食のシリーズ14>
『水の在処』
ネコ吉

火星に水があるらしいと米航空宇宙局(NASA)から発表されたと道新に載ってましたね。水が見つかった訳ではなく、「水が流れた痕があって、それがつい最近の痕かも」という話。もしかしたら・・・地球以外に生命がいるのかも??なんて期待が寄せられてしまいます。その位、生命にとっては水は無くてはならないものなのです。  私たちが何気なく飲んでいる水ですが、人間の体の60%は水で成り立っていて、体重の2%の体水分量が失われてもなんらかの症状が出てきます。夏場、それも運動などするときは水分補給がとても大切です。  運動したり、暑かったりすると多量に発汗するのですが、それは体温の過度の上昇を防ぐためで、発汗により皮膚の表面に分泌された汗を蒸発させることによって熱が逃げていくわけです。1リットルの汗が蒸発すると約600Kcalの熱が体から放出されます。暑い時、体をさましてくれる役割が汗にはあると言うことなんです。汗はなにかと嫌がられますが、あまり嫌わないでくださいね。  水分補給が大事といっても、水分には色々な物がありますが、市販のジュースは多量に糖類を含んでいます。喉が乾いたときの水分補給はなるべく単なる水の方がよさそう。そして、一気に多量の冷たい水分をとると胃腸を冷やして体調を崩します。けっこう気を使わなければいけないようです。  とはいえ、私も水物を良く飲んでしまいます。今年は紅茶がマイ・ブーム。インターネットで見つけたお店の紅茶が美味しい。種類も豊富で次々と本当は飲みたいのです。中でもフレーバー・ティが好きで様々な香りにうっとりしてしいまいます。マスカットの香りのする紅茶は水出しするとびっくりする位の美味しさで超オススメなのです。500mlのペットボトルに茶葉(アールグレイなんかもオススメです)5g程いれて500mlの水を注いで8~10時間冷蔵庫で冷やします。茶こしでこしてどうぞ。水色は薄いのですがやわらかな香りのアイス・ティの出来上がりです。カフェインを含んでいますので、飲み過ぎはほどほどに。ちょっと優雅な夏の時間を過ごせそうですよ。